マルチ商法から一人の人間を救った

ところで、僕は占い師なので、毎日21時から占いの配信をやっている。

9月21日の占いの配信で、いつも見てくれている視聴者から、「アフィリエイトをやっているんだ」というコメントがきた。

ほう、アフィリエイトか。収益こそほとんどあがっていないが、僕もブログでたまに貼り付けているし、なかなか興味がある。

話を聞かせてほしいと、少し聞いてみれば、少し首をかしげるような内容であった。

 

いわく、「全国でチームでやっているアフィリエイトである」と。

はて、アフィリエイトをチームでやる? さっそくよくわからないぞ。

アフィリエイトは、ブログやSNSに貼り付ける広告として主に使うものだ。ブログやTwitterなんて自分で用意できるし、チームでやる意味がわからない。

 

「友人を誘っているのだが、怪しく思われてしまってうまく誘えない」ともあった。

いやまぁ、怪しいと思われるのは当然だ。チームでやる副業なんて、マルチ商法としか思えない。

尊敬していた先輩がアムウェイにどっぷりつかっていた、2年のにがーい記憶を思い出しながら、どういう仕組みなのか教えてほしいと聞いてみた。

 

「知りたいなら、ZOOMかLINEで説明受けられるよ」

いやいや、まるでマルチ商法じゃないか! 大丈夫かよ!

変則的ではあるが、この手法はマルチ商法の勧誘で使われる、ABCというやつだ。僕は賢いので知っている。

僕は配信の視聴者に向けて説明を開始した。

 

ABCとは、

A-説明する人、上級会員

B-勧誘する人、下級会員

C-被害者、もしくはカモ

という3人で成り立つ勧誘のかたちだ。

 

Cが、ある日生活していると、昔の学校の友人だったりするBから、「久しぶりに食事行こうぜ!」と連絡が来る。Cはヒマなのでついていく。

Bと適当に食事して、昔話に花を咲かせていると、話の中でBは、「仕事ダリーよな」とか、「給料安くてやってらんねー」とか、仕事の不満をこぼす。もちろんCも同調する。

社会に不満を投げるような話になってきたところで、Bは、「俺、最近ビジネスはじめてさ、お前も一緒にどうよ?」とか話し始める。Cはキラキラした目でうなずく。

そうすると突然、上級会員のAが横から入ってくる。

 

「偶然通りかかってさ、お、B、友達かい?」

「中学生のときの同級生なんですよ! ほら、C、この人さっき話したビジネスの先輩だ!」

「こんにちは、Cです、よろしくお願いします!」

「よろしくー! ところでさ、ビジネスって、もしかして興味ある感じ?」

そしてカモが鍋に変身するのであった。めでたしめでたし。

 

この時点で僕は、「あっ、これ僕、今、マルチの勧誘受けてんじゃん」と確信した。

このツイちゃんの偉大なるYoutube生放送会場でマルチの勧誘とは、それは聖地を汚す冒涜的行為である。メロスは激怒したし、邪知暴虐の王は配下を3人殺すだろう。

 

しかし心の広い僕は声を荒げず、それはマルチ商法だよ、君は入会するのにいくらかかったんだい? と聞いてみれば、

「最初始めるのに22万円払った」と帰ってきたのである。なるほど、確信はさらに硬くなった。

 

そしてツイちゃんによる素晴らしいプレゼンテーションが披露された。お題目は、「マルチ商法の勧誘デモンストレーション」である。

もしかしてこういう風に勧誘されなかったか? と前置きしつつ、僕はアムウェイで受けたヘッタクソな頭の悪い勧誘を一つ一つ再現してあげた。

 

「今の仕事嫌じゃない?」という問題提起。

「俺、ビジネスやってるんだよね」と興味を持たせ、

「22万円かかるけど、10人勧誘すれば10万円は戻ってくるし、その10人がさらに10人勧誘すれば100人! もっとお金が入ってくるぜ!」とネズミ講の仕組みを目をキラキラして伝え、

「もちろんやらないのは自由だけど、変わりたいでしょ? 変わりたいなら、一緒に頑張ろうぜ!」と選択肢を与える(実際には与えていない)

 

ほら、マルチ商法と同じ仕組みなんだよ! 今すぐやめろ! そうだ今すぐにやめるんだ!

ツイちゃんの熱いご講演を受けた彼は、「ほんとそんな感じだったわw」とコメントを残し、去っていった。

 

09月22日の配信で、再び彼は来た。なんでも、インターネットで評判を調べて、この商売から足を洗うことにしたらしい。

ちょうど今、親友をマルチ商法に誘おうと思っていたらしく、上級会員様とアクティブ?なんとか(要はロールプレイング、勧誘の練習だ)をやるところだったそうだ。

彼はマルチ商法でつながった友人のLINEを全てブロックし、消費者相談センターに自分の一件を相談することにしたそうだ。

 

さて、彼はたった22万円の損失で済んだようだ。これは非常に安い。たったの22万円ぽっちだ。

彼は、昔からの友人、しかも親友を失おうとしていた。マルチ商法の勧誘は、決定的なまでに友情を引き裂くのである。修復は不可能。

仮に将来、彼が大成功したとしても、友人は絶対にお金で買うことができない。

お金はなんとかなるかもしれないけど、友人は一度失ったら戻ってこないのである。

 

また一人の人生を救ってしまった。大っ嫌いなマルチ商法から一人脱出してくれたことをうれしく思い、僕はニヤニヤと寝るのだった。