読み終えた。自分用のメモです。
要約
本の立ち位置を理解していれば、内容を読まずとも、読んでいない本について堂々と語ることができる。
感想
自分の意見を持つことの大切さを知ることができる本だった。
つい数分前まで読んでいた本なのだが、「読んでいない本について堂々と語る本(1)」の内容をあまり覚えていないので、読んで感じたことを書いていく。
1.<忘>◎
同じ本はどこにもない。
本は読まれないとゴミである。インクと紙が組み合わさっただけのゴミである。
本は人に読まれて初めて本としての意味を持つ。
ぼくがAというタイトルの本を読むと、ぼくの記憶の中には、「僕が読んだAという本」というものが残る。
逆に、例えば、山田太郎くんがAというタイトルの本を読んだとする。
そうすると、山田太郎くんの頭のなかには、「山田太郎くんが読んだAという本」が残る。
ぼくと山田太郎くんが、一緒にAという本について話すことになった。
あそこがおもしろかった、この登場人物がいい。などと会話が盛り上がる。
ぼくも、山田太郎くんも、Aという本について話しているように錯覚する。
このとき、ぼくと、山田太郎くんは、Aという本について話していない。
それぞれは、それぞれの記憶の中に残った、自分というフィルターを通して読んだAという本について話している。
作者の気持ちを30文字以内で答えなさい。
国語の授業を思い出した。
「Q1.作者の気持ちを30文字以内で答えなさい。」
「A.2017年当時の作者は経済的に困窮しており、原稿料を1秒でも早くもらいたいと思っていた。」
「採点:30文字以内とは、30文字を超えないように書くという意味であり、44文字で書くことはルール違反です。」
学校の国語の授業では、一つの問題にたいして同じ正解を求められる。
「本の感想や考察に正解がある。」
このテーマを、ぼくたちは10年以上にわたって、学校教育で叩き込まれる。
しかし、同じ本はどこにもない。国語の問題の枠の中で固まってはいけない。
読んだ人によって、その本の内容は全部変わることを、「読んでいない本について堂々と語る方法」は気づかせてくれる。
<忘>
本の中でたびたび、<忘>という記号が出てくる。
作者が、「この本は読んだが、忘れてしまった」ときに付ける記号だ。
ぼくたちが、完全に忘れていない本なんて、一冊でもあるだろうか?
誰かと、読んだ本のことを話すとき、頭の中に本が一冊まるごと浮かんでくるなんてありえない。
頭の中にあるのは、本のキーワードやあらすじが細切れになった、断片的な記憶である。
しかし、断片的な記憶でも、自分ではその本を読んだと思っているから、誰かとその本について堂々と語ることができる。
つまり、本について堂々と語るのに、その本をしっかりと覚えている必要なんてどこにもない。
立ち位置
本をあまりたくさん読まないのでこの感覚はすぐ理解できなかったが、一応書いておく。
普段から本を読む人は、著者の名前とジャンルがわかれば、だいたいの本のイメージをつかむことができるそうだ。
そうすれば、そのイメージを使って、読んでいない本であっても、周りの同じような本と著者、タイトルからイメージを浮かべ、堂々と語れる。
僕は携帯屋さんで1年くらい販売員として働いていたことがある。
半年くらい働いた販売員は、使ったことがない・全く知らない、その日初めて知ったスマートフォンでも、お客さんにその良さをアピールすることができる。
使ったことがないスマートフォンについて堂々とお客さんに語ることができるのである。
それは、使ったことのないスマートフォンでも、メーカー・周りの機種の位置づけ・価格帯などの一目でわかる情報をパッと確認し、その立ち位置をそれっぽく説明するだけでいい。
例えば、こんな感じ。
「Apple iPhone12ですね! カメラ性能が最高クラスですので、インスタグラムでいいねをいっぱい集められますよ!」
「OPPO 2020ですね! 3万円台ながら、バッテリー持ちは10万円の機種を上回るんです! 充電で困ることはまずありません!」
僕は上のスマートフォンを一度たりとも触ったことはないけれど、1分くらいスペック表を見れば、使ったことがなくても携帯電話のセールストークをすることができる。メーカーや今までの製品イメージ、使用される状態の知識がなんとなくあるからだ。
自分が売ろうとしているスマートフォンのことを知らなくても、その立ち位置を知っていれば、そのスマートフォンのことを堂々と語ることができるのである。
僕はスマートフォンについて語れるので、例を出してみた。
もしあなたが読んでいない本について語るときは、本のタイトル・著者・ジャンルなどから、その本の立ち位置をイメージしておけば、なんとかなるんじゃないのかなーと思う。
おわりに
本の感想を書いたり、人と話したり、自分の頭の中で考えるのが重要なんだろうなあと感じた。
抽象的で難しい本だった。
実はこの本は2017年、18歳のころ買ったものだ。当時40Pまで読んで挫折した。よくわからなかったからだ。
21歳になって読んでみた。抽象的すぎて理解しづらいところが多かったが、例えがおもしろく全部読み切ってしまった。そしてこの記事の感想を書く。
また数年くらい、いろいろな本を読んで、言葉の能力を上げたうえで、もう一度読んでみたい。
どの本でもそうだとは思うが、「読んでいない本について堂々と語る方法」は、読むたびにおもしろさが変わるタイプの本だ。
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