ブラック・スワン。ニコニコ生放送中にすすめられたので読んだ。わかるものとわからないものの差を知る良い本だった。
目次
個人的な評価:☆☆☆
- むずかしさ:☆☆☆☆
- 共感度合い:☆☆☆
- 参考度合い:☆☆☆
- おもしろさ:☆☆
- 総合点:☆☆☆
難しいところもあったが、得られるものがたっぷりあった。
統計とかガウスとかの知識全くなかったけれども、作者がそれを嫌っているのと、経済にそれを適用したくないという思想を知った。
気になったポイント
個人的に気になったポイントをまとめる。
黒い白鳥とは?
かつては白鳥は全て白いものだと思われていたが、オーストラリアで黒い白鳥が発見されたことにより、その常識はひっくり返された。
この黒い白鳥の話から、異常で、とても大きな衝撃があり、なおかつそれが起こってから適当な説明をでっち上げられる特徴をもったものを、黒い白鳥と呼んでいる。
9.11やGoogleの大成功も黒い白鳥である。予測できなかったが、あとからいくらでも理由をつけることが可能。
逆に、コロナウィルスでいきなり株価が大暴落したり、大震災で家が全部流されたりするのも、黒い白鳥だ。
血を垂れ流す戦略
吹き飛ぶリスクが能力のフリをしている状況の中で自分がとる戦略を、ネロは「血を垂れ流す」戦略と呼んでいる。長い間着実に、毎日毎日損をする。しかしごく稀に、何か事件が起きると、ものすごい儲け方をする。その一方で、どんな事象が起こっても絶対に吹き飛ばない。
ブラック・スワン 上 182Pより
この本で最も参考にしたいと思ったスタイル。血を垂れ流す戦略とは、ブラック・スワン、黒い白鳥を追うスタイルのことだと解釈した。
血を垂れ流す戦略は、長期的に損をし続けるが、何かの拍子に一気に大儲けするかもしれない動き方のこと。例えば、小説家、Youtuber、研究者、芸能活動などだろうか。
活動し続ければその日のお金が確実になくなるし、長期的に取り組んでも大きな成功は保証されない。それでも、時代の波に乗れれば大成功を収めることができる。
逆に、失敗前提で取り組んでいるのだから、毎日の損失は大きなキズにならない。
つまり、黒い白鳥が訪れることにより、プラスの影響を得られるのが「血を垂れ流す戦略」である。
逆に、銀行や会社勤めなど、一見安定していそうなことがらに黒い白鳥が訪れると、だいたい、どんがらがっしゃんと崩れる。
一般にリスクがないと思われているものは、黒い白鳥によって大きな被害を被る。大手企業でリストラされる人たちなど。
では血を垂れ流す戦略だけをとればいいのか? 売れない芸人やYoutuber、小説家はそのまま活動しろと? いやだめだ、飢えて死ぬ。
そこで、下巻のバーベル戦略が参考になる。
バーベル戦略
「中ぐらいのリスク」の投資対象にお金を賭けるのではなく(中略)、お金の一部、たとえば八五%から九〇%をものすごく安全な資産に投資する。たとえばアメリカ短期国債みたいな、この星で見つけられる中で一番安全な投資対象だ。残りの一〇%から一五%はものすごく投機的な賭けに投じる。
ブラック・スワン 下 70Pより
バーベル戦略とは、90%で安定をとり、10%でリスキーなものを持つ投資方法。
これで総合的に中くらいのリスクをとったことになる。著者は、これを日常生活にも応用できないかと本書で述べている。
日常生活における「安定」が存在するのかはわからないが、黒い白鳥がやってきたとき、安定している資産は守られ、血を垂れ流す戦略のために購入したリスキーなものは良い影響を受ける。
本業でしっかりと働き、副業で倍率がききそうなものをやる(ブログとか、情報系、あとは自分のスキルを売れるもの)スタイルが有効なんだろうなあと思った。
経済学批判
ニコニコ生放送中にブラック・スワンをすすめられたのだが、勧めてくれた人は大変経済学を嫌っていた。
「経済学は偽科学でインチキだ、学ぶだけ意味がない」というほど強い表現で批判していて、経済学者に親でも殺されたのかなあと思っていたのだが、なるほど、この本を読むとそういう考えになりそうだ。
- 身長はわかりやすく分布している(平均身長150cmだとして、身長3mの人はいない)が、持っているお金はわかりやすく分布していない(平均資産が150万円でも、資産が億単位の人が当たり前)
- 持っているお金のように、経済は予測できないデータばかりで構成されている
- だから株価や市場を予想する経済学者はインチキだ
という理屈だった。ニコニコ生放送で経済学を嫌っていた人の気持ちがなんとなく考えていることが分かった気がする。
読書メモ 4500文字くらい
上 クリックで展開
- 8P ブラック・スワン、予測することは不可能であるってことか?
- 10P マジノ戦の例え ドイツがフランスを攻めた フランスは壁を作った ドイツは壁を避けて攻めた
- 草 とても当たり前のことである
- 14P 9.11が起こりそうだから全ての飛行機に防弾ドアをつけた人は評価されない 治療は評価されても予防は評価されない
- なるほど
- 抽象的すぎて難しいが読む
- 18P これエッセイなのか この本はエッセイだって書いてある
- なるほどなあ、エッセイなら許されるし、自分の意見が言える 良い言葉だ
- 20P 物語は覚えやすい
- わかる
- 21P 裏付けになる証拠ばかり選んで集める卑怯なやり方に頼らない
- DAIGOを批判する人がよく使ってる表現だ 自分の言いたいことの証拠を集めるだけ・論文を?
- まぁ証拠なんていくらでもあるからねえ
- 21P この本では、わからないことがこの世の中にはいっぱいだということを話す
- 知らないことってこと? いや、予測できないってことか
- 36P 歴史に接すると人間の頭には3つの症状がでる・主に、わかったつもりになる
- 過去の知識をわかったつもりになる?
- 39P 自分たちは特別だと錯覚する
- わかる 家の効果もあったよな 自分の家が高く見えちゃうやつ イケア効果?
- 42P 過去のことに理由をつけて解釈するのは人間のうまいところ
- せやな
- 45P 日記は起こった瞬間につける記録で、あとからの理由のあとづけがされない
- これそうだよなあ できごとが起こった瞬間の自分と、2ヶ月たってからできごとを解説する自分は違う人間 日記を書けば、かつてのその瞬間の自分を記録できる
- 52P 科学の結論はめったに発生しないものを無視しているので現実には使い物にならない
- ニコニコの生放送で経済学者を批判する人(たち)はこの考えをもとにしていそうだなあ 読み終わったとき僕の考えはどう変わっているのか
- 機関車の前で小銭を拾うのがトレード、なかなかおもしろい例え
- 67P 目で見える現実は筋が通ってはいないし
- 論理的思考の放棄 言葉にしようとすると圧縮されるから
- 68P 歯医者やマッサージ師の仕事は、収入は重力に縛られる
- 69P ハリー・ポッターシリーズのJKローリングは、誰かがハリーポッターを読みたいときにハリーポッターを書く必要はないが、パン屋は一つ一つパンを焼く必要がある
- 69P 世の中の仕事は、仕事量を増やさなくても稼ぎを何桁も増やせる仕事と、仕事量と仕事時間を増やさないと稼ぎが増えない仕事(つまり重力に縛られた仕事)に分けられる
- これ金持ち父さんとかに出てくる考え方に近い
- 70P しかしそれは悪いアドバイス そういう重力に縛られない仕事は運と格差に縛られる
- 成功しないもんな ふつうは
- 73P 昔は歌手の格差はなかったが、今は拡張可能性により、CDがたくさん出て、売れない歌手が大変増えた
- これ先生にも当てはまりそうだな 昔は先生っていうだけで強かったが、いまはYoutubeやDVDの普及により、誰でも良質な講義が受けられるようになった 一握りの先生が講義を独占してお金を稼ぎ、残りの平凡な先生は消えていく ことになりそう?
- 74P 芸術を好きになるのは芸術が素晴らしいからではなく、共同体の一員だと思いたいから
- とても共感できる 一緒に楽しみたいからだよな
- ゲームのエンジョイ勢
- 79P この本の核心だ・レバレッジということか? 昔は戦争で一人しか殺せなかったが今は兵器で一人が100人殺せる、ビル・ゲイツは100人集めても四捨五入で切り捨てられるお金を持っている 異常値が発生するところに黒い白鳥が出る
- 80P 予測できるデータ・平均身長、体重、アルバイトの毎日の稼ぎ、一日で歩ける歩数 予測できないデータ・所得、人工、有名度 予測できないことのほうが多い
- 89P 七面鳥グラフ この人間は優しいなあ! えっ、今日は感謝祭の前日なんだって!? さあ、餌をくれよ!
- 盛大におもしろい たしかに予測できないよな
- 104P 過去からのリスクを学んでも、将来のリスクは得られない(リスクマネージャーが14人いても、114人いても、アラマンスは破産する)
- 過去からは教訓を得るべきであって、流れとかを得るべきじゃないってことか?
- 107P 可能性がないと示す証拠があるのと、可能性があると示す証拠がないのは別
- これ確かに同じだと誤解するわ これ書いたひととてもかしこい
- AはBである、であればBでないものはAでない(違うかも)、裏逆対偶を理解するのって多くの人にとって難しいのか? そして僕にとっても
- 111P 私達は現実では論理的に間違うが、教室では犯さない
- 教科書やテキスト上でできても、現実で論理の考えするの難しいってことね
- 112P あるという証拠がないのを、ないという証拠があるのと取り違えている
- かしこすぎる
- 計測できないデータ(母乳のたとえ)、健康主義者やヴィーガンが完全に間違っているっていうのは間違ってるのかもね
- 115P 反例を積み重ねれば真理に近づけるが、裏付けを積み重ねても真理に近づけない
- 探偵
- 117P 正しいとわかっていることより、間違っているとわかっていることのほうがずっと自信が持てる
- 117P 追認バイアス
- 数字を並べる実験、自分の考えに合う検証しかしないように人間はできている
- 122P 身長が数マイルあるというのを直感で切り捨てるが、本の売上はたくさんになる可能性がある
- 133P パターン化してしまうようにできている
ここから下巻
下巻
- 12P 色々やった結果、違うもの・分野で成果になる
- 32P よくわからないけど効くならやる
- 53P 前にもやった予測の誤りを、またしても犯そうとしている
- そう、自分の間違いとか、予測の間違いを、学ばず、またやる
- 66P 身構えろ 予測は信頼できない、予測を信頼すると安心してしまう、だから身構えろ
- 69P バーベル戦略 超保守的かつ超積極的 9割をものすごく安定した資産に投資し、1割をものすごく投機的な賭けに投じる
- これすごいいいな 投資ポートフォリオだけでなく、時間配分や自分の労働に対するスタイルにも使えるかも
- 72P アップサイドとダウンサイド 良い黒い白鳥は映画、脚本、出版など 白鳥で上がる 悪い黒い白鳥は銀行、災害保険、軍隊 白鳥で下がる
- なるほど 流血なんとかだっけ
- 74P チャンスっぽいものは片っ端から手を出す
- 行動量よなあ 予定なんか全部放り出せ 仕事もなにもかも!
- 76P 予測できないことを予測する人に話を聞いてはいけない
- ニコニコで経済学批判してる人絶対この本読んでるでしょ
- 88P 学者のレベルは論文が引用された価値で決まり、お互い引用するグループがあるくらい
- ブログの相互リンクじゃあないか Googleか?
- ここからわからない話がたくさんあったので読んだ
- 184P アメリカ株式のリターン上位10日を除いたグラフ
- 異常値とされているものが全体を作ってるのね
- 186P (もし)金融の世界がガウス的なら、ああいう暴落(標準偏差20個分)は宇宙が数十億会繰り返してやっと一回起きる程度
- なるほどなあ、拡張性があるから、偏差とか意味が薄いのね←無いらしい
- 193P この人煽るの好きなのかな
- 198P 確かなものを求めて泥沼にはまった科学より、小手先でとりあえずなんとかなれば
- 実践大事よなあ
- 217P 電車を逃して残念なのは電車を捕まえようと急いだときだけ
- 競争から降りる(負けるのではない)
おわりに
文字には起こせないが脳の中には考え方が住み着いた。また数年後に読み直して、この後読んでいく本と知識をつなげていこうと思う。
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